撮る自由-肖像権の霧を晴らす

日本リアリズム写真集団理事長をかつて務め、「著作権」「肖像権」などに一家言ある丹野章氏が書いた本です。

撮る自由-肖像権の霧を晴らす」(丹野章著、09年5月25日発行、本の泉社)
写真を撮るとき気を遣うのが、個人情報保護とか肖像権などです。最近特にやかましい気がするのです。世相を反映しているということでしょうか。誰も平穏な生活を脅かされたくないと思えば、似たような反応になるのかもしれません。もちろん、撮影者、被写体ともに、という意味ですが。
さて、著者は、撮る自由と公表する責任を分けて書いています。その上で、撮る自由を「見ていいものは撮ってもいい」という言葉で代弁しています。これを読んで、「え?」と思われた方も多いと思います。もちろん、自由だからこそマナーも大切、とも書いています。最近、カメラマンがこの種の問題に委縮気味で、自己規制をしすぎてはいないかと思っているひとりですが、TAKAは著者ほどザックリと割りきることができません。
一昨年だったか、「うらじゃ」で子どもの連を撮っていた男性に対し、保護者たちが一斉に撮らないよう立ちはだかり中止を求めた、というのを目撃しました。公道上でのできごとであり、男性撮影者が特定の子どもに対し不快感を催すほど執拗に撮っていたかどうか定かではない状況のように思えたので、いささか違和感を覚えたのでした。
著作の98ページには---

マナーに外れた撮影行為に対して、撮られた人が「怒る」などの反応はあって当然ですが、一般的に、公開の場の一部として人がいる場合に、特に理由もなく「撮影を拒否」できるという「法的権利」があるとはいえないと考えられます。

としています。さて、みなさんは、いかがな反応・ご感想でしょうか。