新聞は、岩国の「怒」をどう伝えたか

今朝の「山陽」を見て、「何だこれは」と思った。TAKAの基準からすると、「岩国の怒り」を現した1日の1.1万人集会に対する記事の扱いが低いと思ったのだ。
山口県岩国市は、市庁舎建設費用の補助金を、国から途中でストップされ困っている。米軍空母艦載機部隊の岩国基地移転を反対していることに対して、国からのいやがらせが補助金ストップとなっているのだ。
さて、今朝の朝刊の報道具合に触れよう。
日本共産党の機関紙「赤旗」を見てビックリした。1日、市長を先頭に、国のいじめに1万人以上が抗議の集会を行い、「怒」りの声を上げたのだ。その市民たちは手に手に「怒」の文字を掲げた。その理由も同紙には触れてあった。思想を超えて広がりのある共感が岩国では広がっていると思った。米軍岩国基地のある場所でこうなのだ、と思った。だから、どえらいことだと思った。自公路線や日米安保を当然と思う人たちにとっては、背筋が寒くなるほどの出来事であったに違いない。
では、いわゆる一般紙はどう伝えたか。
まず、冒頭に触れた地元紙の「山陽」は、4面で「補助金カット許さん 岩国で市民1.1万人抗議」と写真つきで報じた。原稿は、他の一般紙よりまともだった。原稿は評価したいが、4面下部という扱いは、納得いかない。もっとすごいことだろうとTAKAは思う。
次は、読売と毎日だ。両紙は取り上げてない。岡山弁で言うとこれは「チバケナ」(=ふざけるな)と言いたい。まあ、改憲先導新聞「読売」が取り上げないのは、ある意味当然としても、「毎日」はどうしたんだ、と言いたい。
次は、「日経」だ。同紙は40面建ての第39面(社会)で、「『怒』『怒』『怒』岩国市民ら1万人集会 補助金カット」の見出しと横位置の2段写真を掲載した。記事はストレート記事に近いもので、背景に踏み込んでいない。
その次は「朝日」だ。1面に、縦位置四段抜きのカラー写真を配し、「怒りの山 岩国、補助金見送り抗議」のタイトルで報じた。1面かつ大きなカラー写真は評価できるが、記事はそれに見合っていたかどうか、考えてしまう。
岩国市長は共産党でもなんでもないだろうと思う。その市長が「地方自治、民主主義を守る」と言っているのだ、その会場で。これは重い発言だ。基地の町「岩国」の市長がこう言う事は、安保が当然と思う人たちにとっても、大きなニュースであり、新聞各紙は、事実を伝えることとともに、その背景や、与える意味の大きさを解説する必要があるのではないだろうか。
「読売」「毎日」はその意味で、大切な記事を落としたというほかあるまい。
中曽根元総理が大連立に触れたとか、平沼新党が話題になったという以上に大変なことが岩国でおこったことを「国民」の視点で素直に見、伝えることを忘れてはならないと、肝に銘じて欲しい。
ジャーナリズムは権力者の見方に擦り寄らないで欲しいものだ。事実は事実として伝え、読者が出来事を評価できるにふさわしい土台を提供してもらいたい。第4の権力とも言われる「ジャーナリズム」が、自分の足場を見失い、どこかに擦り寄らないで欲しいと思う。