Eテレ特集  原発事故への道程 後編 そして“安全”は神話になった

昨日、NHKEテレで「原発事故への道程 後編 そして“安全”は神話になった」を観ました。前編は、1週間前の 9月18日に「シリーズ原発事故への道程 前篇 置き去りにされた慎重論」として放送され、こちらも観ました。
通産省官僚が核となって運営される「原子力政策研究会」に集った原発関係者たちの録音テープと新たな証言などがまとめられた同番組は、全体として、関係者の証言をつなぐ、という手法で好感のもてるものでした。原子力船「むつ」以前にも実は事故らしきことがあったような・なかったような、いうなら時間の経過とともに話してもいいかと言うこともあり、時間をかけて検証するという大切さを思い知らされます。
そして、当時、原発の危険を訴え、訴訟をおこなった伊方原発原告の弁護団論点が生かされていれば、福島原発事故は防ぎえたのかもしれないと思ったのは、TAKAひとりではないかと思います。それは、国の主張がメルトダウンは無視できる確率であるとしたこと対し、100万分の1の確率でもそれは起こらない、ということでないと、あたかも、福島原発事故を予見したような論点でした。最悪を考えて対策する。対策できず住民の安全が担保されないなら原発設置はダメだ、という明解なものでした。

伊方原発裁判で公判を担当した、地裁・高裁・最高裁の裁判官の立ち位置がいかなものであったのか、あわせて「中立」「良心」とはなにか鋭くえぐっているように思えます。
最高裁伊方原発の裁判官のひとりについて、My News Japan は、5月27日(三宅勝久)記事として、"「原発は安全」判決書いた最高裁判事が東芝に天下り 司法にも広がる原発マネー汚染"と報じています。

毎日JPでは、"原発:「司法判断困難」 元担当裁判官10人が心情吐露"として、次のように伝えています(抜粋)。

東京電力福島第1原発事故の発生後、各地で原発の運転差し止めなどを求める提訴が相次ぐ中、原発の安全性を巡る過去の訴訟を担当した元裁判官10人が毎日新聞の取材に応じた。ほぼ一様に原発の問題を司法の場で扱うことの難しさを吐露。住民勝訴が確定した訴訟はないが、事故を受け認識の甘さを認めた元裁判官もいる。今後の司法判断について「裁判所の目は国や電力会社側に厳しくなる」との予測もあった。(中略)
毎日新聞は、過去の主な14件の訴訟にかかわった元裁判官36人に取材を依頼した。裁判官経験者が個人的思いを語るのは異例だ。
最高裁伊方原発1号機訴訟で92年、「審査に重大な誤りがあった場合は設置許可を違法とできる」との初判断を示し、原発訴訟の進め方の見本となる判例を作った。2件の原発訴訟の上告審を担当した元最高裁判事は匿名を条件に「これだけ難しい問題は、まず国会や行政手続き段階で国民が納得できるような議論を十分にすべきだ」と話した。 >> 全文

NHKにはイロイロ文句もあります。この番組でも、もう少し抉ることができるのではと思う場面も。また、なにかオブラートにくるんだ発言に、もう一皮剥こうという方法が何かなかったのか、などと。将来にわたって検証してもらいたい、と思うのでした。しかし、まず、以前であればなかなか放送すらされなかったであろうと想像する内容の番組でした。そういう意味では、ガンバレNHK、ガンバレジャーナリズムと言いたい。